市民による市民のためのネットワーク構想
~ゆりかごからお墓まで安心のまちをつくる~
2018年4月9日
杉並区・生活クラブ運動グループ地域協議会 福2プロジェクト
はじめに
杉並区に生活クラブが発足して41年。この間、生活クラブ生協の共同購入活動から発した団体が集って「杉並区・生活クラブ運動グループ地域協議会」が誕生以来、移動サポート、保育事業、食事作り、葬祭サポート、市民自治活動、居場所づくり、リユースショップ、そして今、生活クラブ生協のデポー(店舗)運営を担う事業が立ち上がる準備をしており、「生活を自治する、まちを自治する」という共通の目標を掲げて、地域に必要な機能をつくりだしてきています。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、地域にどういう仕組みがあると安心して暮らせるのか、心安らかに最期を迎えられるのか、未来を担う子どもたちが安心して遊び、学び、生きていけるのか、地域に暮らし、働き、子を育て、親を看取り、年を重ねていく私たち自身が地域をどうしたいのか、どういう地域だったらいいのかを描くことが必要だと考えます。
地域協議会ではこれらの思いの実現に向けた「5カ年方針と計画(2016~2020年度)」をもとに、さらに具体的なしくみを描くものとして市民版地域福祉計画を策定しました。2015年に東京の生活クラブ運動グループで構成する「生活クラブ運動グループ・インクルーシブ事業連合」による各地域協議会への市民版地域福祉計画づくりの呼びかけをきっかけに杉並区でもこんなしくみがあったらというイメージを膨らませるため、他区の事例を見学するところから始め、議論を重ねてきました。計画をまとめる過程において「なかまの家」や「けやきの見える家」「エコメッセ高円寺(水・緑・木地)」の実態ができ、これらの機能をさらに広げていくことも市民版地域福祉計画には反映させました。
自治体では、高齢者を主な対象とする「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいますが、次に国が打ち出してきたのが「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現。公的な福祉に頼るだけでなく地域に暮らす人たちが支え合う社会を目指すものであり、あらゆる人を対象にした包括的な相談支援体制の必要性が言われています。背景には縦割りでは解決できない様々な生活課題が複雑に絡み合い進行してきた社会状況がありますが、この方向性は生活クラブ運動グループがすすめてきた住民自治のまちづくりと重なります。また、社会福祉法の改正により自治体の地域福祉計画の策定が努力義務化され、杉並区でも2018年度からの保健福祉計画に内包される計画の上位計画として地域福祉計画が位置づけられました。今後、行政の動きを見据えながら行政・民間・地域住民のそれぞれの役割を明確にし、市民版地域福祉計画を実現させていきます。
1.杉並区・生活クラブ運動グループ地域協議会の成果と課題
○地域協議会の構成団体(2018年1月現在)
①北東京生活クラブ生協・まちすぎなみ北
②北東京生活クラブ生協・まちすぎなみ南
③杉並・生活者ネットワーク
④NPO法人たすけあいワーカーズさざんか
⑤ワーカーズ・コレクティブ 保育室モモ
⑥ワーカーズ・コレクティブ オレガノ
⑦NPO法人おでかけサービス杉並
⑧東京ワーカーズ葬祭サポートセンター
⑨杉並・ワーカーズまちの縁がわ なかまの家
⑩企業組合ワーカーズ・コレクティブ轍ケイアッシュ
○毎月第2火曜日に定例の地域協議会を開催し、各団体の活動共有や団体を越えた取
り組みについて話し合い、企画を実行している。
定番の取組み:ひとこと提案募集、杉並区へ予算提案、しゃぼん玉メッセージ(環
境課とのヒアリング)、代理人と語ろう、親子カフェ、新年交流会、
地域協議会ニュース発行(月1回)、地域協議会アピールリーフ作成
など
杉並区内の運動グループは産前産後支援や月ぎめ保育、障害児者支援、高齢者介護
事業、移動サービス、地域の居場所、有料老人ホームの食事サービス、リユ
ースショップ、生活材の共同購入など多岐にわたり暮らしをサポートする現場をも
っています。日々の活動を通して、人々が抱える様々な複合的な課題にも直面して
います。行政サービスだけでは解決できないことに対しては、課題解決のための新
たな機能を生み出すこともすすめてきました。行政からの委託事業もありますが、
非営利なボランタリーな地域のたすけあいを前提とした事業でもあるため持続可
能な安定的な経営とともに次代を担う人材の確保が課題となっています。
2.地域資源とのネットワークと新たなしくみの創出
○私たちが描く安心できる地域像(WSまとめ別紙参照)
・どんな問題や不安もワンストップで相談できる機能が身近な地域の中にある。
・必要な支援が24時間365日受けられる。
・近隣でたすけあえるコミュニティがある。
・医療と介護の連携で在宅介護が可能である。
・安心して最期を迎えられるよう、看取りができる在宅医療が充実している。
・認知症になっても安心のまちづくり。
・ケアラー支援のしくみが多様にある。
・気軽に行ける多世代交流の居場所が歩いて行けるところにある。
・子育て家庭が地域でつながる場がある。
・若者や定年後の起業支援のしくみがある。
・一人暮らしになっても安心できるサポートがある。
○キーワード:地域のつながり 高齢者の見守り 居場所 在宅医療
相談・情報 介護者支援 おひとりさま 起業支援
○今後生み出したい機能
・拠点、居場所→空家活用、デポー
・人材→人材育成、人材バンク、はたらく場の創出
・ファンド、助成金情報→東京CPB、インクルーシブ事業連合、杉並区協働プ
ラザとの連携
・地域協議会サイト→HP作成および管理できる人材を発掘
のイメージをもちつつ、地域協議会、地域資源、公的サービスをネットワークさ
せる役割をもつセンター機能の創出を目標とする。
➩ 杉並生活クラブ館
デポー、組合員活動室、カフェ、
センター機能 仮)「杉並ふくふくサポートセンター」
○杉並区・市民版地域福祉計画 地域資源ネットワークイメージ図
*中間支援的役割(外側から2番目の環)を担う場が横にネットワークする、様々
なサービスや機能(一番外側の環)と縦につながることでその人の暮らしを支
える安心のまちとなり、それら全体をコーディネートする仮)杉並ふくふくサ
ポートセンターがあるというイメージ
3.推進体制
福2PJメンバーが中心となり、地域協議会、デポーつくる会、生活クラブと連携
しながら「杉並生活クラブ館」としての活用を検討する。