地域の取り組み紹介 世田谷

世田谷の地域福祉構想

序文

 住み慣れた街で、最後まで暮らし続けるためには介護保険等の制度はもちろん必要だが、何より人と人とが支えあう「地域の支えあい」の仕組みがあるかどうかにかかってくる。地域の支えあいは、①顔の見える関係作り、②元気な人が困った人を支え合える仕組み、③出来ることを出来る人がする、これら3点の当たり前のことを共有できることが大切であると同時に、そこに関わる人たち(拠点)をどう立ち上げ・運営してゆくかが課題と言える。

 「世田谷の地域福祉構想」は、支えあいの仕組みを創るすなわち福祉拠点を創り増やして行くことを目的とするものである。

 23区南生活クラブ生協は、これまで40年に渡って生活クラブ生協が培ってきた班作りのノウハウ(人と人とが繋がり目的を一つにして支えあう仕組み)を、介護保険導入前にこの世田谷で福祉の世界に活かし、幼児から高齢者まであらゆる人を対象とした地域支えあい拠点としての「ひこばえ」を17年前に産み出し、現在17箇所と飛躍的な発展を遂げている。世田谷区が「ひこばえ」のような高齢者支援活動を、「支えあいミニデイ」として制度化することにも繋がった。

今回さらに歩を進め「小規模多機能型居宅介護」という、通い・訪問・泊まりと、利用者にとって在宅に必要なサービス全てを抱合する事業の展開も視野に入れ、「ひこばえ」の発展形として、最後まで在宅で住み続けるための「支えあいの仕組みづくり」に取り組む指針を示すものである。

全6回の講座概要

第1回「講演会」10月1日(土)生活クラブ館

 講師:コミュニティ・ホーム樂 元ホーム長 佐戸義江氏
  「小規模多機能型居宅介護サービスについて」  参加者 45名 

第2回「見学会」10月14日(金)町田市

  小規模多機能型居宅介護施設「たすけあい小川」 参加者 14名

第3回「見学会」10月18日(火)青梅市

  小規模多機能型居宅介護施設「鉄心坊」 参加者 13名

第4回「見学会」10月25日(火)世田谷区

小規模多機能型居宅介護施設「コミュニティ・ホーム樂」 参加者 5名

第5回「見学会」10月27日(木)世田谷区

  小規模多機能型居宅介護施設「みかみ介護支援センター」 参加者 3名

第6回「報告会&ワークショップ」11月10日(木)生活クラブ館

  コーディネーター:(特非)せたがや福祉サポートセンター 光岡明子
  「世田谷地域福祉構想づくり」 参加者 26名

2012年~2014年までの3ヵ年計画

この「3ヵ年計画」は、生活クラブ運動グループ世田谷地域協議会による全6回の「世田谷地域福祉構想作り」の講座終了後に、講座参加者の思いや意見を参考として、地域協議会に設置された「世田谷地域福祉構想作り実行委員会」が、3年後の世田谷の地域福祉構想として地域協議会へ提案し決定されたものである。
 現在(平成23年度)世田谷区では小規模多機能型居宅介護施設は4箇所と数も少なく、また、地域拠点として地域のNPO・任意団体等と密接に結びついているとは言いがたい。
 今後、看取りまでを含めた高齢者・障がい者の在宅生活を支えることを考えた時、地域密着型で通い・訪問・泊まりの機能を有する「小規模多機能型居宅介護施設」こそ、様々な人たちが関わりあえる「支えあい」の地域拠点としてふさわしいものであると考えられる。
 さらに、「小規模多機能型居宅介護施設」は、1人暮らしになった高齢者の自宅の使用などとともに、乳幼児を抱え働く親にとっての一時預かり場所、障がいのある方やその家族にとっての相談場所等として機能する事が望ましい。今後、それぞれの地域にあった様々なスタイルで運営される「小規模多機能型居宅介護施設」の増加が必要とされている。
 2010年から始まった「砧プロジェクト(生活クラブ生協の旧砧本部跡地の有効利用の検討)」では、グループホームと小規模多機能型居宅介護施設、訪問介護事業を併設した高齢者福祉施設・ケアセンター世田谷の設立が決まり進行している。地域協議会として、この動きと連動した形で「世田谷地域福祉構想作り」を具現化して行くものとする。
 地域協議会は、今後3年をかけ、世田谷に相応しく地域ネットワークを最大限に活用した「小規模多機能型居宅介護施設」立ち上げを目指すこととするが、3年後を待たず実施の芽が発生した場合も、基本計画に則って可能な範囲で進めるものである。当然主体となるのは、地域に小規模多機能型居宅介護施設を創ろうとする人たちであり、地域協議会の役割としては情報提供、広報による周知、講座開設などの協力等である。

スケジュール

2012 事業展開の芽を探る(調査・情報収集・他)
  ・情報収集:「世田谷地域福祉構想」パンフレットを作成し、周知活動を行なうと同時に、空き家情報・人材情報等収集する
  ・地域調査:高齢化率の進んでいる地区等、情報をもとに具体的な地域調査活動を行う
  ・人材発掘:「見学会・ワークショップ」のミニ講座を開催し、企画メンバー、準備メンバー等の人材発掘を進め

2013 具体案についての検討(エリア設定、事業概要案作成)
  ・集まった情報を検討し具体的な地域を設定して、地域集中型で活動を展開する
  ・小規模多機能型居宅介護事業の事業概要を作成する
  ・資金計画(予算計画・補助金等)を作成する
  ・講座開設:地域ネットワークについて考える

2014 実施
  ・人材育成(研修・講座)
  ・事業計画・予算作成注(別途資料) 支えあいミニデイ
  ・高齢者交流会ひこばえ
  ・小規模多機能型居宅介護サービス 

*世田谷地域協議会地域福祉構想づくりに向けて
*3か年計画
*福祉構想がつくられるまで