「豊島区・市民版地域福祉計画」
1.豊島区で、誰もが自分らしく安心して暮らし続けるために
豊島区で生活クラブの準備支部が生まれたのは、1987年。1992年に支部になり2000年に「まち豊島」となりました。2002年には、消費材の共同購入だけでは解決できない生活の課題解決のために、「豊島・生活者ネットワーク」を立ち上げ、2003年に初めての議員を区議会へ送り出しました。2005年に、「まち豊島」と「豊島・生活者ネットワーク」の2団体で「豊島区・生活クラブ運動グループ地域協議会を結成しました。豊島区には、かつてパンのワーカーズ・コレクティブがありましたが、20年以上前に活動を中止してから、ワーカーズもACTもエコメッセもありません。これは、豊島区が、いかに利便性が高いかを表しています。交通網、買い物事情、公的、および民間のサービスなどなどが、いたるところにあるため、「なくて不便だから、自分たちで作ろう」という意欲にはつながらないと分析しています。(ないのは緑と自然と広い公園)
2020年2月現在、豊島区の住民は29万人弱で、外国籍住民はその1割を超えています。外国籍住民の割合は、23区では新宿区に次ぐ2番目の多さです。面積が約13平方キロメートルのところに多くの人が暮らし、なおかつ昼間の人口は、若干減ったとはいえ夜の人口の143%以上で、豊島区で働き、学ぶ人が多いことがわかります。このように、多くの人が集まる豊島区の中で、誰もが安心して暮らし続けるためには、お互いの個性を認め、尊重しあうことが何よりも重要です。そして、これまで地域のあちこちで行われてきた活動の点や線を面としてつなげていくためにも、豊島区の市民版地域福祉計画を作り、関わっていく人たちを増やし、広げながら、安心して暮らし続けられる地域を自分たちの手で作っていきます。
2.計画策定に向けた活動の経緯
<2011年度>
・プレーパーク活動をしていた組合員とともに、インクルーシブ事業に関しての学習会(出前講座)を開き、その後、NPO法人「豊島子どもwakuwakuネットワーク」が誕生しました。(地域協議会メンバー多数が会員)
・かつてのパンのワーカーズメンバーだった組合員が、“自己所有のアパートを建て替える計画があるが、まだ居住者がいる。現時点で、空いている部屋で、生活クラブの試食会など企画の会場として提供することも可能”と申し出がありました。地域協議会で共有し、使い方について、検討を始めました。
<2012年度>
・大田区下丸子で始められた、夕飯を一人で食べる子どものために安価で食事を提供する場(店主が、今では一般的な名称になった“子ども食堂”と名付けた)「だんだん」を見学し、「要町あさやけ子ども食堂」の開店につなげ、現在にわたって運営に関わっています。
・組合員宅の建て替え後の事業化を模索するために、数々の見学を行いました。
元気力発電所 下丸子店(大田区)
<2013年度>
・引き続き見学を行いました。
エコメッセ 水緑木地 学芸大学店(目黒区)
まちの縁側「楽多舎」(練馬区)
まちの縁側「なかまの家」(杉並区)
<2015年度>
・インクルーシブ事業連合の福祉ツアーに参加し、富山型デイサービス「にぎやか」(富山県富山市)、コミュニティハウス「ひとのま」(富山県高岡市)を視察し、多世代、障がいのあるなし、多様な人たちが集える場所の有用性を実感し、地域協議会メンバーと共有しました。
<2016年度>
・組合員所有のアパートの建て替えが本決まりになり、1階部分の提供の申し出があり、事業化のための方策を探りました。(「南長崎プロジェクト」)
<2017年度>
引き続き見学を行いました。
・空き店舗を利用した「クルトコ」(千葉県柏市)見学
・まちの縁側「わおん」(小金井市)
・無料学習支援をしている若者の団体「pieces」、デイサービスを運営したいと考える「ReDo」の代表者などと意見交換し、南長崎でともに事業をする可能性を協議したものの、結果として、家賃に見合う事業の実現が難しいと判断せざるを得ず、このプロジェクトは消滅しました。
<2018年度>
インクルーシブ事業の「居場所づくりフォーラム」の助成金を利用して、「つながる場所のつくり方」トークイベントを開催しました。ゲストスピーカーは、要町あさやけ子ども食堂店主の山田和夫さん、豊島区内で、コミュニティ&イベントプロデューサーとして活動する中島明さん、作家で活動家の雨宮処凛さんでした。50人を超える出席者とともに、自分たちにとってほしい居場所やあったらいいな、と思う居場所について意見交換を行いました。
<2019年度>
・インクルーシブ事業の出前講座にて「市民版地域福祉計画」について学習しました。
・生活クラブの組合員83人以上がメンバーになっているLINEグループにて、「このまちに、こんなものがあったらよいなと思う場所、しくみ、困っていること」などについて、意見を集めました。
“安全で安心の生活クラブの食材を使ったお総菜屋さん、お弁当屋さん”
“国産小麦を使用したパン屋さん”
“子どもを連れて手仕事したり、料理を作ったりできる場所”
“プレーパークをもっと増やしてほしい、公園の決まりが多くてのびのび遊べない”
“ボランティアではなく、地域での雇用も生み出せたら良い”
“小さなワークショップがたくさんあって、人が集う場になればよい”
“ミシン、編み物、手芸カフェ”
“ブックカフェ”
“石けんやティッシュ、素精糖、なたね油など生活クラブの消費材が買える店”
など、多くの意見が寄せられました。
<2020年度>
・ワーカーズコープの運営する「こみっとプレイス」(南池袋4-10-5、就労継続支援B型事業所、生活クラブ生協事業所班)において、食でつながる活動等を連携して行う取り決めを行い、新しい拠点となりました。
・組合員のパン工房「西池袋のおうちパンや」(西池袋3-6-22)が生活クラブ事業所班となり、新たな拠点となりました。
・生活者ネットワークの新事務所(高松1-8-14-101)を「スペース20」とし、レンタルスペース事業なども行っていきます。
3.私たちのめざすまちにするために
①「出番」と「居場所」を実現する拠点となる場所
子どもから高齢者まで、あらゆる世代のさまざまな人たちが、安心して過ごすことができる居場所が求められています。
要町あさやけ子ども食堂では、ご飯を食べにくる子どもたちをはじめとして、お手伝いの人たちにとっても、自分ができることが他の人を喜ばせることを実感できる貴重な場となっています。 地域で活動するさまざまな団体と連携協力していくことで、自宅でもなく、学校や仕事の場所ではない、一人一人が大事にされる新しい居場所を提案していきます。
2020年度
これまで理念を共有し、ともに活動してきた団体とのいっそうの情報共有を図るとともに、具体的な拠点を山手線の東側(こみっとプレイス)と西側(スペース20)、(西池袋のおうちパンや)に拠点となる場所を作ります。
2021年度
インクルファンドを利用するなどして、新たに連携できる場所を増やします。
2022年度
学習支援などの活動を広げていきます。
②働く場
ボランティアでなく、身近な場所で活動を事業化できるしくみが必要です。ワーカーズ等の立ち上げの可能性を探ります。
③相談事業
日常生活で困り事があっても、どこに相談してよいのかわからず、孤立して悩んでいる人を多く見かけます。自治体、東京都などの施策で解決できることも多くあるので、気軽に相談できる場所を設けるとともに、情報の公開を進めていきます。
これらを地域協議会の長期方針とともに実現していきます。
*豊島区・市民版市域福祉計画イメージ図