3 政策提案
予算提案
2001年度から、子どもと高齢者福祉分野の提案をまとめ、東京・生活者ネットワークを通して東京都への予算提案を行ってきました。
2003年度からは、福祉協議会単独での提案活動としました。各団体の地域福祉の実践現場からの課題を、東京都の次年度予算への提案としてまとめ、毎年12月度の福祉協議会で東京都に提出、その際、都議会生活者ネットワークを通じて関係部局の出席を依頼し、ヒアリングをしています。医療・保健・福祉の連携など、これまでの縦割り行政では解決できない課題については、東京都も認識しています。実践現場に対する理解が進んだとはとても言えませんが、地域の実情を伝え、意見交換を行う提案活動は意義がありました。
一方、4月に始まる福祉協議会の年間活動では、12月の提案にならざるを得ない現状がありますが、自治体の予算編成スケジュールを考えると、提案時期として12月では遅いというのが課題となっています。また、東京都は特に福祉分野において、区市町村が地域の実情に応じ、創意工夫を凝らして実施する福祉・保健・医療サービスの各分野における事業を支援する「包括補助制度」を導入しています。今後、インクルーシブ事業連合の活動の中では、東京都への提案と関連付け、基礎自治体への予算提案を、地域協議会との連携で行うなど、効果的な提案方法の検討も必要と考えます。(概要については資料編p9~11参照)
東京政策
毎年行っている予算提案等をもとに、東京政策をまとめ、代理人運動を展開しました。
「地域福祉に関する東京政策2005」をまとめ、それをもとに2005年2月、東京・生活者ネットワークと政策協定を結びました。(福祉協議会通信№20で広報)
- 市民参加により地域福祉を進める
- 高齢者福祉を充実させる
- 障がい者福祉を充実させる
- 地域での子育ち・子育てを支援する
「地域福祉に関する東京政策2009」をまとめ、4月に東京・生活者ネットワークと政策協定を結びました。(福祉協議会通信№35で広報)
- 安心して産み、育てるためのしくみをつくる
- だれもが安心して住み続けられるまちをつくる
- 地域で安心して暮らしていく
生活クラブ運動グループ・東京運営委員会が「市民マニフェスト運動」として「東京政策2011」をまとめ、ピアふぇすた2010で発表しました。運動グループとして東京・生活者ネットワークと政策協定を結びましたが、「東京政策2011」の福祉関連分野について、福祉協議会としても政策協定を結びました。(福祉協議会通信№42で広報、代理人候補予定者を紹介、東京政策2011を実現するために、ともに力を尽くしていくことをアピール)
東京政策2011(福祉分野の柱)は以下のとおり
- 安心して産み、育てるためのしくみをつくる
- だれもが安心して住み続けられるまちをつくる
- 地域力・市民力を活かした地域をつくる
介護保険制度への提案
介護保険制度の法改正や、報酬改訂時等に、提案活動を行いました。
「介護保険制度に関する改善提案~利用者758人への3年間の継続調査に基づく~」(2002年4月)
介護保険事業計画の見直し・介護報酬改定(03年4月~)に向け、「介護保険制度検証のための基礎調査」を基に利用者の視点から提案しています。厚労省老健局に提出(4/24)、東京都にヒアリング・提出(青山副知事・当時)(4/30)、基礎自治体へも提出しました。
「介護保険制度改正に向けた提案」(2003年5月)
都内約500人の高齢者へのサービス利用実態調査の結果からは、地域福祉においては、介護保険制度の範囲と、それ以外の高齢者福祉サービスの両方の充実が求められていることが明らかになった-として、①在宅介護の充実に向けて、②入所施設での生活の充実に向けて、③保険者として取り組む改善点、④NPOへの支援のあり方、⑤保険料徴収と利用料1割護負担について、⑥福祉サービス第三者評価-について改善を求めました。厚労省(5/14)、東京都知事・市区長宛(5/20)に提出しました。
「介護保険制度見直しに向けての意見」(2004年10月)
社会保障審議会介護保険部会から「制度見直しに向けた意見」が出されたことを受け、持続可能なシステムとして定着を図る考え方は支持しつつ、社会状況の課題が山積する中で、財源の問題だけで早急な制度改正を行うことに危惧を表明しました。①要介護認定のあり方、②介護予防の推進、③在宅ケアの推進、④在宅に代わる新たな「住まい」、⑤サービスの「量」から「質」への改革、⑥被保険者と給付の考え方-について、厚生労働省に提出しました(10/12)。
「介護保険制度見直しに向けた意見」(2008年6月)
生活クラブ連合会で、介護保険制度見直しに向けた提案を行うことになり、当初はそちらに反映させるために、福祉協議会として議論を行いましたが、福祉協議会としても、厚生労働省に意見を届けることとしました。
介護保険法については、2009年を目途に「介護予防(予防給付及び地域支援事業)」について検討されることになっており、また、2009年には介護報酬も改定、そのため、福祉協議会としては、5年ごとの大きな見直しに向けては、改めて議論することとし、介護予防と介護報酬に絞り意見をまとめることとし、その他として、地域密着型サービスの課題のみ加え、厚生労働省に提出し、ヒアリングを実施(6/24)しました。
2006年の介護保険制度改正以降、同居家族がいる場合に生活援助への制限が特に強くなったことが問題となっていた時期で、厚労省は、同居家族がいる場合の生活援助を一律機械的に制限しないよう事務連絡を行っています(07年12月、その後09年12月にも再度連絡)。当日のヒアリングでも、担当者からは、同居家族がいる場合の生活援助が一律機械的に制限されることはよくないとする考え方が確認できました。その一方で、▽生活援助については、現実問題として1.5時間以上の必要性はない(1時間の定額制は妥当)、▽介護労働の現状については、受給者も増えているが、それ以上に事業所が増えており、それが経営的に厳しい実態につながっている(介護報酬の問題だけではない)、など、改めて厚労省と認識の相違を実感、今後、より具体的な実証と提案を行う必要があることが分かりました。提案内容は2010年の提案に再度つなげました(「訪問介護の90分規制や院内介助、日中独居の生活援助などの規制を緩和し、『必要に応じて利用できる基準』については現場のケアマネジャーやサービス担当者会議の裁量に委ねる」)
「介護保険制度見直しに向けた提言」(2010年9・10月)
第5期介護保険事業計画(2012年度~)策定に向け、次期通常国会で改正案の提出が予定されていた時期、介護保険制度改定に関する院内集会「市民セクターによる緊急集会!介護保険をよくするために」を開催*し、介護予防実態調査からの提言を集会で発表しました(4月27日)。
その後も福祉協議会として協議を継続し、制度全体の見直しを視野に入れた「介護保険制度見直しに向けた提言」として、①介護保険制度全体について、②複雑な制度を分かりやすく、③介護サービス、④介護予防事業・予防給付の見直し、⑤地域で安心して高齢者がくらしていけるために-を提案、民主党(9/10)、厚生労働大臣(10/28)に各々提出・ヒアリングを実施しました。
さらに、ACTからの呼びかけに応じ、「介護保険制度から『生活援助』を縮小しない要望書」署名活動に協力、12月にACT(WNJ)が厚労省へのヒアリングを行い、要望書を提出しました。(最終署名数:ACT 9,493筆、生活クラブ 13,494筆、WNJ関連団体 21,423筆、一般(他団体・個人) 16,744筆、計61,154筆)
*市民セクターによる緊急集会(4/27):神奈川奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会、NPO法人ACT、東京・生活クラブ運動グループ福祉協議会
毎年行っている東京都への予算提案の中で、介護保険に関しても制度の改善について言及しています。
(提案項目については資料編p12~13参照)
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