インクル福祉ツアー2015

インクルーシブ事業連合では、生活クラブ運動グループの地域福祉ビジョンに掲げた「市民版・地域包括ケアシステム」構築のため、「市民による市民のための安心のネットワーク構想」を策定しました。今後、私たちがめざすこの安心ネットワーク構想を地域で描くうえでヒントになる取り組み事例として、富山県の2ヶ所の事業所を視察しました。(2015年11月6日)

 

富山型デイサービス~デイケアハウス「にぎやか」(富山市)

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NPO法人にぎやか理事長の阪井由佳子さんは1997年28歳で「にぎやか」を開所する前の約8年間、老人保健福祉施設でPT(理学療法士)として勤務。

お年寄りは施設に入所するとそれまでの個性や人生を脇に置き、施設に合わせた生活に変えざるをえなくなる。100人ものお年寄りが決められた時間に一斉に食事し、入浴することや「家に帰りたい」、「家に帰るため」にやりたくないリハビリに励む姿を毎日目にして集 団介護に限界を感じていた。同時に、出産後離婚して一人での子育てが大変だった時に富山型デイサービスの創始者「このゆびとーまれ」の惣万佳代子さんと出会う。その人の人生をその人らしく生活する手伝いをしたい、納得できる介護は自分でやるしかないと老健を退職。自宅を開放しデイケアハウス「にぎやか」を開所。「死ぬまで面倒みます。ありのままを受け入れます。いいかげんですんません」がモットー。

迎えてくれたのは「チームむら」の仲間たち。「チームむら」はスタッフを除いて全員がにぎやかの利用者か元利用者で、精神障害や発達障害があったり組織や社会に馴染めないなど、生きづらさを抱えるメンバーがピアサポート(当事者による自助活動)を行っています。全国からやってくる年間300名ほどの見学者のガイド・パワーーポイントを使っての説明と、出張コーヒー販売事業を行っています。

 

コミュニティハウス「ひとのま」(高岡市)

CIMG1134開放された玄関先の箱に300円を入れれば、子どもも大人もだれでも利用できる居場所。

主に不登校、引きこもりの居場所として利用されている。家では一人でゲームをしていたが、同じゲームをするのでもここでは隣りにだれかがいて、家とはちょっと違う。中には暴れる子もいるが、つかず離れず見守り、落ち着いたらまた仲良くする。暴れる子は、もう来るな、と言われることが多いが、「ひとのま」はそうではない。こんな場所はこれまでなかったから、暴れる子も、ここにいたいと思うようになり、次第に暴れる回数も減ってくるという。

初めて訪れる場合は、親からの相談が多い。引きこもっているため人と接したことがなく、何度も何度もこちらから訪ねていき、信頼関係をつくり、やがて来るようになる。

人を信じること、つながること、楽しく遊ぶことが大事。勉強は家や塾でする。ここに来れば、人とふれあい、お互いの存在を認めあい、いい顔になっていく。知り合いが増え、一人で抱えていたことをみんなで抱え、孤独から脱することができる。これまで行き場所のなかった軽度の発達障害や精神障害の方の居場所ともなっている。視察に訪れた時も、夕方だったせいか、子ども、大人を問わず、次から次へと人々がやってきてはわが家のように過ごしていた。