市民版地域福祉計画

市民による市民のための安心ネットワーク構想

2015年2月12日

はじめに

2011年の震災以降、地域コミュニティの重要性が叫ばれました。しかし、地域コミュニティは自然発生的に形成されるものではなく、そこに暮らす住民自らが思いを持って主体的に考え行動すること、その住民たちの活動をコーディネートする人やしくみの存在が不可欠です。地域の関係性が希薄な現在、高齢者や子ども、障がい者など社会的弱者が孤立しないための地域づくりが重要であり、地域にいれば誰かが手を差し伸べてくれる安心をつくっていくことが必要です。その安心とは何か?生活クラブ運動グループが考える「安心の地域」の設計図を描くことが必要であり、そのための議論の場として「市民による市民のための安心ネットワーク検討会議」を設置し、現場で活動しているメンバーにも参加してもらいながら議論をすすめてきました。ここでの議論を運動グループ共通のビジョンとして、地域の実態づくりにつなげていきたいと考えています。

1.生活クラブ運動グループの到達点と課題

運動グループは暮らしの課題に対し、そこに暮らす地域の人々の自治によって課題の解決に取り組んできました。食の安心・安全を手に入れるための生活クラブの共同購入運動にはじまり、雇用問題に取り組み、もうひとつの働き方を提唱したワーカーズ運動、社会の制度議論に市民自ら参画することを目指した代理人運動など、数々の実践を通し て社会に問題提起をしてきました。

私たち運動グループが事業化してきた地域に必要な機能は、高齢者、子ども・子育て、障がい者、食、環境など多岐にわたります(別紙A・B・C参照)。運動グループでは、地域福祉を「共に生きる地域づくり」という広義にとらえ、それぞれの団体は地域に拠点を持ち、地域の人々が運営することにこだわり、「地域」をキーワードに、人やモノ、情報、金を循環させながら市民主体のまちくり型福祉を実践しています。独自の事業と共に、行政からの委託により公的サービスの担い手としても、市民目線のサービスの提供にも努めてきました。その分野は介護保険にはじまり、障がい者支援、子育て支援、移動サービスや公共施設の管理運営などに広がっています。

私たちが常に念頭に置くサービス提供に対する基本姿勢は「当事者主権」であり、誰もが自分らしく生きることへのサポートを心がけてきており、ウラを返せば、人権をないがしろにするようなケアやサービスが少なくない社会への問題提起であり、自分たちが受けたいサービスを自ら実践することで社会に発信してきました。非営利協同により取り組んできたからこその成果です。

日本の少子高齢社会は他に類を見ない速さで進んでいるにもかかわらず、財源の厳しさもあり福祉の社会化の後退を招いています。介護保険の軽度者切捨てや子育て支援、生活困窮者などの多岐に渡り、かつ複雑化している問題に対して縦割り行政の限界が表面化しています。2015年度からは介護保険制度における新地域支援事業や子ども・子育て新制度、生活困窮者の自立相談事業など、まさに縦割りを超えなければできない事業が基礎自治体で動き出します。各自治体の力量が問われていますが、行政だけに任せるのではなく、生活クラブ運動グループの20数年の実績を活かしながら多様な地域資源とネットワークしながら、市民目線で何をすればよいのか、改めて運動グループとしての連携を強めて、実態づくりにつなげていくことが必要です。

*別紙A:生活クラブ運動グループによる地域福祉事業
*別紙B:生活クラブ運動グループの地域福祉に関する事業高の推移(06~13年度)
*別紙C:事業種類別事業高推移(06~13年度)

2.市民による市民のための安心ネットワーク構想

  ~24時間365日の暮らしを支える~

➢運動グループが目指すカタチ・・・キーワードは『人が育ち、まちが育つ』

  • 地域の中で安心して暮らし続けるためには、24時間365日を支えるしくみが必要。
  • 常にニーズ主体である私から発することを大事にする「当事者主権」が守られていること。
  • お互いを認め合うことが前提の双方向性・対等性を大事にしたコミュニティでの人との関係づくり、地域で生きる力をつくっていくこと。

➢具体的な取組み提案

重点課題:ネットワークづくりと新たなしくみづくり

①コーディネート機能を発揮する人と拠点の創出
*人や情報が集まるためには、地域に開かれた場(拠点)をもつことが必要であり、
同時にその場をコーディネートする人が必要。

②多様な団体や機能、行政とつながる
*①を拠点に、運動グループだけではなく、公的・私的全ての地域の多様な社会資源と
つながることで、どんな問題にも対応できるワンストップサービスを目指す。

③その地域に足りない必要なしくみづくり
*①に集まる地域のニーズや生活課題が、②で解決しなければ、必要な新たなしくみを
つくりだす。
*具体的なしくみづくりには、地域協議会や①,②、インクルーシブ事業連合が連携・協力
して取り組む。

➢24時間365日安心ネットワークのイメージ図(別紙D)

3.安心ネットワークづくりの実行計画

「市民による市民のための安心ネットワークを実現していく体制を地域につくろう!」

➢各地域の状況にあわせて様々なモデルケースをつくりだそう!
めざすはネットワークづくりをコーディネートするまちづくりのセンター機能の創出

➢まちづくりのセンター機能の創出を主軸においた市民版地域福祉計画の策定

*策定にあたり必要と思われる要素例

・調査活動(ニーズを探る)
・行政ヒアリング(制度を知る・委託、協働事業の可能性を探る)
・人材育成(主体となる人材の発掘・育成)
・資金調達(出資金・寄付・助成制度・東京CPB融資など)
・事業計画の作成
・スケジュール

4.インクルーシブ事業連合の役割

➢中間支援と助成事業で地域の動きを支援する。
・手を挙げた地域の実行計画づくりを支援する。
・実行計画の実現に向けた動きを支援する。
・取り組んでいる地域協議会をはじめ、取組みを検討している地域協議会も含めて、情報
共有する場(仮・安心ネットワーク連絡会)を設置する。
・必要な機能創出に対する助成事業

➢「市民による市民のための安心ネットワーク構想」をよりおおぜいの運動グループメンバー
と共有し、実行性を盛り上げるフォーラムを開催する。

➢会員団体の役割

〇ACTグループ
● 地域に必要な新しい機能をつくる。
● 福祉的人材を育成し主体者を生み出す。

〇社会福祉法人悠遊
● 地域に必要な新しい機能をつくる。
● 地域包括支援センターの実績からの課題の提案と情報提供

〇東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合
● 地域に必要な機能を事業化する。
● 多様な働き方、働く場をつくる。

〇生活クラブ生協
● 地域福祉の担い手としての、大勢の組合員の参加を促す。
● 様々なニーズを発掘する場となる。

〇生活者ネットワーク
● 行政情報を提供する。
● 地域や団体を超えた政策提案、事業提案を行う。

〇認定NPO法人 まちぽっと
● 調査活動と対話集会から制度・政策提案につなげる。

〇NPO法人 市民シンクタンクひと・まち社
● 調査活動や第三者評価事業から地域活動や市民政策につなげる。

〇東京CPB
● 市民事業の資金調達に関する相談・情報提供を行う。
● 市民出資をもとにした融資を行う。

〇NPO法人 エコメッセ
● 地域にひらかれた拠点があることを活かし、人と情報をつなぐ。

 

巻末参考資料:

①事例から見た必要なしくみWSまとめ
②想定される事業一覧
③2012年度以降新たに生み出された生活クラブ運動グループの機能
④老人ホームの種類